Patch of green weeds


2019/5

インスタレーション(プランター、コンセプトシート、設置台)

(会場に設置したコンセプトシート全文です)

小学校の頃の私の一人遊びといえば道端に生えている雑草を使ったお料理ごっこでした。エゾノギシギシやオオケダケの蓋の部分を茶碗に集め入れ、ナガハグサやイヌムギなど適当なイネ科の葉をボウルに盛り、従兄弟の家の犬に食べさせようとしたことがあります。私はいま東京に住んでいて、それら馴染みの草を見かけてはそのことを思い出します。

先ほどあげた植物は外国から侵入してきた植物です。今では街中の植え込みを観察するとその半分以上が外来種で構成されています。そしてそれら外来種の植物で、日本に自生、繁殖したものを帰化植物と言います。帰化植物は明治以降に外国との交流が盛んになると徐々にその数を増やし、現在では国内で1200種以上も確認されています。よく知られているものですと西洋タンポポ、ブタナ、カラスノエンドウ、ハルジオン、シロツメクサなどが挙げられます。

交通網の発達そして町の都市化が進むと比例するように帰化植物はその種類、数を増やし、さらに在来種と交配し新たな種類も発生しました。単純に緑の風景として目に映っていたその内容は、人間の活動とともに急速に変化し続けてきたのです。今回の展示では展示会場近くに生えている雑草の生えたプランターを集め、現在のこの地域の緑の景色を作っている植物を会場に設置しました。植物のそばに名前と原産国を添えてみたので、この緑がどのようになってきたのか、昔ここはどんな緑の風景だったか想像し楽しんでもらえれば幸いです。

そしてもう一つ、入口に土だけ入った小さな花壇を設置しました。植物の種はいろんな方法で移動します。タンポポの綿毛のように風で飛んでいったり、アメリカセンダングサのように何かにくっついて移動したり、ナガミヒナシゲのように大量の種を作ってタイヤなどの隙間に挟まって移動したり。いらして頂いた方々の靴の裏に挟まっているかもしれない植物の種(お土産)が、ここに落ちて小さな緑の風景ができたら嬉しいなと思います。

Chie Kamekura

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