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2018/10

インスタレーション 映像、写真、資料

Red Wood Ant とは日本名でツカヤマアリという、ヨーロッパ、アジア北部に生 息する蟻の一種である。彼らの特徴の一つに、小枝や落ち葉を使って巨大なドーム型 の巣を作ることが挙げられ、このコロニーでは数万から数百万ものが共同生活を行 っており、内部は適度な温度・湿度が保たれている。そして、夏の間はこのコロニー の中で生活を送り、寒さの厳しい冬には土の中へ移動し冬眠する。

フィンランドではのツカヤマアリがバイオマスの1割を占め、そして他の国の森林 より、一区画あたりの深林の中でより多くのコロニーが存在するという研究報告が上 がっている。これはフィンランドの深林管理システムや環境の汚染レベルの低さによ る結果であるとそこには書いてあった。

私は滞在したロヴァニエミ周辺の森を散策すると、多くのツカヤマアリのコロニー を確認する事ができた。そのコロニーの多くは松のふもとにあり、松の葉や種、小さ な枝が積まれたようなドーム型をしている。小さい物で直径40cm高さ30未満、大き いものでは直径90センチ高さ80センチほどのコロニーを発見した。緑の森林の中に 、赤茶色のこの美しいドーム型の存在は非常に目を引いた。

何十万もの小さな蟻がこの家を作ったエネルギーと、それを作り上げる自然環境に 私は引かれ、今回のモチーフに選んだ。このコロニーが森林と生物の関係性の象徴の ひとつ捉え、引っ越されたの家を解体し、どのような素材で、そしてどれほどの量 でこれが作られたか作品を通して示そうと考えた。


2018年9月 ロヴァニエミ駅西に800m先にある、マップ上の白い線で覆われた森林のツカヤマ アリのコロニーを探した。ほぼ針葉樹で構成されたこの約20000m2のなかに、16の コロニーを確認した。そのうちの3つは蟻が住んでいないもので、そううちの一つ( 黄色印)を今回解体した。大きさは直径62cm,高さ49cm程度。

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